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相続の法律改正について

行政書士、弁護士、司法書士、誰が良いのか?

円満にまとめたいのか、争いたいのか?(弁護士と言う選択)

誰が良いのか?

弁護士は、名称のように「弁護する」人です。

どちらかの立場に立って、相手と対立します。

弁護士を立てるというと、大抵の人は身構えます。

弁護士は仕事を引き受けると、相手に受任通知を

送ります。

この通知文が、かなり偉そうで、威圧的な文章です。

相手に良い印象を与えないばかりか、かなり反感を持たれます。

それだけで、円満な話し合いからは、ドンドン遠くなります。

「家族・親族が仲良く」ではなく、仕事をもらった人が有利になるようにします

弁護士を立てると、余計な緊張感が生まれ、円満解決から遠ざかりがちです。

もし、円満にまとめるのではなく、「身内で争いたい」のであれば、弁護士が最適です。

相続でもめているから、すぐ弁護士は、早とちり。

もめているから、争いごと、だから弁護士というのは、早とちりです。

話がまとまらず、異論があるのが、もめているという状態です。

しかし、ほとんど人は、調停や訴訟をしようと思っていません。

「もめる」というのは、ただ「意見があわないだけ」で、普通によくあることです。

いい案が出たり、誤解が解けたり、納得できれば、解決が付く話がほとんどです。

もめている案件でも、ほとんどがきちんと話をすれば、解決します。

これは、「争い」ではありません。むしろ争いにしてはいけません。

家族・親族で争って、将来良いことはなにもありません。

弁護士を頼んで裁判所に持ち込めば、心労が増え、不仲の溝が深まります。

あとで「やらなければよかった」と後悔することが多数です。

資格の機能、経験から見れば、行政書士でしょう。

争わない資格としては、行政書士、司法書士、税理士などがあります。

しかし、司法書士は、不動産などの登記の専門家です。

税理士は、税金の専門家です。

遺言や相続というのは、個人の「権利や義務の話」です。(遺言、遺産分割協議書など)

「権利や義務の書類、行政に提出する書類作成は、行政書士」と法律で決まっています。

本人、弁護士は別として、行政書士でない人が代わりにやると、厳密には法律違反になります。

しかし、最大のメリットは、行政書士には、社会人経験が豊富な人が多いのが特徴です。

試験の合格が異常に難しい資格は、資格を取ること、勉強が最大の目的になっています。

よって、法律知識優先で、社会人経験が少ない人、社会を知らない人が、グッと増えます。

「法律オタク」はおらず、社会人の常識とバランス感覚があり、上手く話をまとめたり現実的で、人の気持ちがわかる解決が期待できます。

相続の法律改正について(民法)

配偶者が、引き続き「自宅」に住み続けられる権利を作った。(民法1028条:配偶者長期居住権)

妻(配偶者)が住んでいた被相続人(亡くなった夫)の家に住み続ける権利を作り、

遺産分割の1つの選択肢とした。(配偶者居住権)(長期居住権)

基本的には、終身住むことができる(別に定めない限り)

また、この居住権を登記することによって、第3者に対して明確にすることができます。

遺産分割で、配偶者が子供と遺産を分ける場合、配偶者と子供側の比率が2分の1と同じであるため、配偶者は、住み続けるために自宅を相続することが多く、その結果、金銭の多くが子供側に行ってしまいがちです。

現状では、配偶者は住むところはあっても、金銭がないと言う状態になりがちです。

そこで、自宅に「配偶者居住権」という権利を認め、その価値分を配偶者がもらうことで、後の権利(所有権)を子供側にわたすことができます。

所有権=配偶者居住権+負担付所有権

つまり配偶者は、住むことができるが、本来の所有権としての価値より、ぐっと価値が減った配偶者居住権を相続することになるので、まだ、配偶者の相続分が余りが出ます。

その分、今まで以上に金銭がもらえる余地ができるようになります。

配偶者は、住むことも出来て、今以上に金銭ももらえるという状況になるわけです。

この居住権の価値は、配偶者の平均余命まで、その時の土地建物の価値に、段々価値が落ちて行くという評価額になります。

また、配偶者が家土地を相続した場合、配偶者の家系に不動産が移ってしまう可能性がありましたが、居住権であれば、所有権部分は、被相続人の家系に不動産を残すこともできます。

施行日は、2020年4月1日です。

この居住権は、遺言や遺産分割で設定することができます。(できれば遺言が良いですね)

○○に配偶者居住権を遺贈すると書く。(所有権と分けて)

ただ、建物を共有していた場合は、ダメです。(これはありがちですね)

配偶者居住権の賃料は?⇒無料です。

それでは、配偶者がこの居住権を売却することはできるのか?(施設に入る資金などのため)

所有者が買い取ることは可能です。

配偶者が、賃貸させることは可能なのか?→所有者の承諾があれば、可能です。

配偶者が、修繕することは出来るのか?→通常の修繕は可能です。(雨漏りとかバリアフリーとか)ただ、自分で修繕費を支払います。

それ以上のものになると、所有者の承諾を得て、所有者の負担になります。(増改築とか)

もし、所有者が他人に売ったらどうなるか?⇒配偶者居住権の登記がなければ、対抗できない。(追い出されるかも)

 

配偶者の短期居住権も明確にされました。

通常は、長期居住権が問題になることが多いでしょう。

しかし、この権利は、短期間の居住権の話です。

ただ、遺産分割が終わるまでの時点ではどうなのか?ということです。

亡くなった配偶者所有の建物に無償で住んでいた場合、遺産分割で所有者が決定するまでの間、無償で使用することができるということです。

これが明らかでないと、遺贈で建物が他人に渡されていたとか、亡くなった方が続けて住むことを認めていなかったような場合、混乱が生じます。(そういうことも有り得る)

遺産分割で決まるまでの間(相続開始から最低6カ月)は住めます。

この権利自体は、相続財産の価格にはなりません。

これは、他人に遺贈されていても、亡くなった方の意思と違っても、相続放棄をしたとしてもです。

それでは、亡くなった方と同居していない場合は?⇒同居は条件にはなっていません。

もう1つ、配偶者への優遇制度ができました。

配偶者に、住宅を生前贈与するということが、しばしば行われてきました。

結婚20年を過ぎて、自宅などを贈与すると、2000万円(年度計2110万円)までは贈与税が掛からないということもあって、これが良く行われました。

しかし、贈与したとしても、後で持ち戻しされて、配偶者の生活の維持ができなくなります。

ただ、税金ではなく民法の世界では、生前に贈与した場合は、相続の遺産分割の際に「持ち戻し」といって、これも計算に加えて、分割していました。

もちろん、遺言で、「持ち戻し免除」と書いてあれば、別ですが。

しかし、今回の改正で、やはり結婚20年経って行った贈与については、「持ち戻し免除」の意思があったと推定されることになりました。

つまり、相続財産の計算に入れなくても良いということになります。(民法903条4項)

これで、配偶者への生活保障などが、できることになります。

遺産分割前に1人の相続人が、勝手に遺産を処分した場合

現状ですと、共同相続人の1人が、他の相続人の同意なく、共有の財産を処分した場合、その財産は遺産分割の対象外になりました。

そのため、この先取り分をとりもどすには裁判などの訴訟が必要でしたが、それをしたとしても、十分に取り返せないことがあり、不公平でした。

それで、今回は処分した相続人が同意しなくても、処分した遺産を含めて遺産分割することができるようになりました。

そのため、公平な遺産分割をすることができるようになりました。

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遺留分制度も変更され、金銭での請求になります。

遺留分とは、相続人としての最低のもらい分。

遺言で、どんな遺言を書こうと、相続人としては、「最低のもらい分」は確保できますというのが遺留分の制度です。

これがなければ、遺言を書かれて、相続分がゼロと決められたら、全くなにももらえなくなってしまいます。

ところで、この遺留分ですが、これまでは、例えば相続財産が不動産とお金であった場合に、

遺留分として請求できるのは、不動産とお金を両方合わせたものに、請求できるということでした。

ですから、不動産とお金の両方の一定割合が、請求者に行ってしまいます。

これでは、不動産については、面倒な共有状態になってしまいます。

これを避けるため、遺留分は金銭の請求権だけにして、不動産の共有状態になるようなことは、避けて行きます。

請求した方にとっても、中途半端な不動産をもらうより、お金でもらった方がいいでしょう。

また、金銭請求を受けた場合、直ちにお金を用意できない場合は、裁判所が期限を設けることができるようになりました。

生前に行った贈与についても、遺留分の計算対象になるのですが、相続人に対して行った贈与に対しては、時期を問わないのではなくなり、10年間が対象になります

ただ、遺留分権利者に損害を与えることを知っていた場合には、10年以上前の贈与も対象になります。

相続人以外に対して行った贈与であれば、これまでどおり1年間になります。(民法1044条)

2019年7月1日に発生した相続から使えます。

自筆遺言が、全文自筆でなくても良い?(方式がゆるくなる)

自筆遺言は、文字どおり、全文を自筆で書かなければなりません。

「全部の財産を長男に相続させる」のような短文なら負担はないです。

長い文章を書く場合には、かなり負担です。間違えることもあります。

不動産などは、登記簿上の書き方書かないと、トラブルの原因になることがあります。

そのような細かな不動産や預金の情報を、財産目録の形で作れば良いのです。

登記簿謄本や預金通帳コピーを本体の遺言書とセットにして「一体の遺言書」とすれば良いです。添付のものには、1枚ごとや、両面に署名や捺印が必要。

変更の場合は、自筆遺言と同じ方法で変更する。

例えば、財産目録としては、

1.遺言者本人がパソコンで作成した財産目録。

2.遺言者本人以外が作成した財産目録。

3.不動産の登記事項証明書。

4.預金通帳の写し。

いずれも可です。

ただ、私個人は、お勧めしません。

それは、「書きやすくなっても、自筆遺言であることには、違いがない」からです。

一番重要な「自筆遺言の欠点」は、修正されていません。

争いになりがちな文面、内容であれば、問題はなくならないからです。

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自筆遺言の保管制度ができる。

これまで、自筆遺言を書いた場合、その後の保管については大きな問題でした。

自宅で保管されることが多いことで紛失、破棄、隠す、改ざんも行われがちです

せっかく書いても、紛失があったり、発見されて捨てられたり、タイムリーに出てこないということになります。

そこで、法務局が、きちんと保管するという制度になりました。(遺言書保管法

保管の申請ができるのは、住所地、本籍地、または遺言者の不動産がある法務局です。

ただし、自分で出頭しなければなりません。(撤回も同様に)

自筆遺言の条件が満たされていれば、画像情報として保管され、他の法務局からも探せます

亡くなってからであれば、その内容を本人以外でも閲覧することができます。

そして、自筆遺言の場合必要であった「検認」をしなくても良いとされています。

検認は、非常に面倒な制度です。

相続人に当たる人に連絡が行き、裁判所で全員に現物を確認してもらう制度なので、遺言の内容を知られたくない人にも、知られることになります。

また、検認に1,2ヶ月という余計な時間が掛かります。

検認がなくてもいいということは、すぐ実行できるので良いですね。

もうひとつプラスの効果としては、本人が申請に行かねばなりません。

本人に遺言を書く能力があるかどうか(認知症?)の疑念が避けられる可能性があります。

自筆遺言で争われやすい、遺言能力の問題も多少は少なくなるでしょう。

遺言者の死亡後は、相続人などは「遺言書情報証明書」を取ることができます。

遺言書を保管されているのか?は、「遺言書保管事実証明書」をもらうことが出来ます。

登記や名義変更は、「遺言書情報証明書」にて出来ることになります。

遺言書情報証明書を渡したり、閲覧させたときは、その他の遺言書の相続人等に遺言書を保管している旨を通知することになります。(検認と似たような意味もある)

自筆遺言と公正証書遺言の違いとは?

遺産分割の仮払い制度

遺産分割が終わらないと、お金を引き出せないのでは、非常に不便です。

最高裁の28年判決によって、預貯金も遺産分割の対象になりました。

すると、当面の葬儀費用やいろいろな支払いが出来なくて困ります。

各共同相続人が単独で、預貯金の払い戻しが出来るようになりました。

ただし金融機関ごとに、単独で払い戻せるのは、最大150万円までです。

相続法の改正の詳しい話は、こちらから

遺言執行者の権限が明確になる。

遺言執行者とは、どういう人でしょうか?

分かりやすく言えば、遺言の内容を実現する「実行者」です。

遺言を実行する段階では、遺言を書いた人は当然亡くなっています。

そこで、遺言執行者が、本人(遺言者)の代わりに、遺言を実行する役割を負うことになります。

この遺言執行者の権限は不明確のところもあったものを、今回明確にしました。

例えば、

登記申請などが出来る。(今まで執行者としては、出来なかった)

→非常に不都合でした。

預金の払い戻しや、解約請求ができる

止むを得ない自由の有無に関わらず、第3者に再委任できるなどです。

療養看護などで苦労したら、財産をもらえる。(相続人以外)

これまでは、相続人以外であって亡くなった方の療養看護など、いろいろと苦労した場合、

財産の配分を受けることが出来ませんでした。

よくある例が、「長年介護をした長男の嫁が、財産を何ももらえない」というパターンです。

これは、ある面、現実的でない、不公平なことになりがちです。

このようなことは、病気や介護などで、かなり日常的に良く起こることです。

今までであれば、遺贈しておくとか、あきらめるというパターンになりがちでした。

しかし、これをどの程度貢献したかによって「特別寄与料」ということで、相続人に対し請求できることになります。

相続人でなくても、親族の範囲であれば、良いということになります。

話合が上手くいかなければ、家庭裁判所にて決めてもらうことができます。

(相続を知った時から6カ月、相続があったときから1年以内)

ただ、通常寄与分というのは、かなり少ないのが普通です。

赤の他人ではないので、多くは「扶養義務」の範囲内と考えられるからです。

それを超過するということになると、よほどの介護ということになります。

これまでの例で行けば、裁判をしても、せいぜい100万円もあれば、良い方です。

それも、細かく介護した内容や金額などを1つ1つチェックするというような、気の遠くなるような作業がつきまといます。

 

相続税の改正が、平成27年1月の相続から行われました。

相続税は、過去は目安として、亡くなった方の約4%程度(全国平均)でずっと減ってきました。

(但し、都内中心部では、20%とも言われます)

相続税と言うのは、課税する側にとって国民から批判が少ない税金です。

お金や資産がある人から、取るのですから、批判は出にくいです。

国の財政が厳しい中、消費税、所得税の増税では、国民全員が関心を持ち、なかなか実現が面倒です。

高齢者が増え、国民の財産の半分以上を高齢者が持っていると言われるなかで、いよいよ手が付けられました。

どのように変わったか、重要な点だけに絞ってお話しします。
 

相続税には、「基礎控除」というものがあります。

全部の被相続人の財産を合計して、この金額以下であれば、相続税はかからないという金額が基礎控除です。(この額は法定相続人の数により違います。)
 

今までの計算式は、基礎控除=5000万円+1000万円×法定相続人数です。

それが、5000万→3000万、1000万→600万円と変わりました。

例えば法定相続人が、3人(妻と子供2人)であれば、5000万円+1000万円×3人で8000万円まで掛かりませんでしたが、それが3000万円+600万円×3人=4800万円。

4割も下がりましたので、ちょっとしたお金や土地を持っている人は、税金の対象になりました。

税金が掛かる人数は、1.7倍になりました。

土地でも、自宅の土地やアパートの土地(小規模宅地)は、大きく評価が下がります。(80~50%減額、条件を満たした場合のみ)、この条件が使えない場合は、税金が掛かることが多いことになります。

建物は、固定資産評価額で評価します。

 

    

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  • 1級ファイナンシャル・プランニング技能士
  • 証券アナリスト